花言葉

かきつばた(杜若)の花言葉の意味とは?

かきつばた(杜若)は、日本の初夏を彩る代表的な花のひとつで、優雅に水辺に咲く姿は古くから多くの人々に愛されてきました。万葉集や伊勢物語などの和歌にも詠まれ、平安時代から美の象徴とされてきた花です。アヤメ科の多年草であり、アヤメやハナショウブと似た姿を持ちつつも、独自のしとやかさと気高さを持っています。

この記事では、かきつばたの持つ花言葉、その意味や由来、贈り物としての使い方や文化的背景などを丁寧に紹介していきます。

かきつばた(杜若)の基本情報と特徴

かきつばたはアヤメ科アヤメ属の植物で、湿地や池の縁、水辺などに群生し、5月から6月頃にかけて紫色や青紫の花を咲かせます。細長い葉と、横に広がるように咲く花が特徴で、その繊細な美しさは水面に映る姿までも「絵になる」と称されます。

名前の由来には諸説ありますが、「書き付け花(かきつけはな)」から転じたとも、「衣に染めたくなるような美しさ」から「描きつけ花」と言われたともされ、美しさを言葉にせずにはいられなかったほど、印象的な花とされてきました。

かきつばたの花言葉

かきつばたには、以下のような花言葉がつけられています。

「幸せは必ず来る」「優しさ」「高貴」「思慕」「あなたを大切にします」

これらの花言葉には、それぞれに深い意味が込められています。

幸せは必ず来る

水辺に静かに咲きながらも、その凛とした美しさは見る人に安心感と希望を与えます。この花言葉には、「どんなに今が静かで孤独でも、やがて幸せが訪れる」という前向きなメッセージが込められています。忍耐や信じる力の象徴とも言えるでしょう。

優しさ

柔らかく波打つような花びらと、やわらかな立ち姿は、見る人に包み込むような優しさを感じさせます。押しつけがましくない、自然体の優しさを表現したい時にふさわしい花言葉です。

高貴

古来、貴族文化の中で重んじられた花であり、和歌や衣装の意匠にも用いられてきました。その歴史的背景から、「気品」や「格調高さ」といった意味を込めた「高貴」という花言葉が付けられています。

思慕

「思慕」とは、深く恋い慕う心、遠く離れた人を想い続ける気持ちを表します。杜若は、伊勢物語の有名なエピソードに登場し、旅先で都に残してきた女性を偲んで詠まれた歌にも登場します。そこから「思慕」という花言葉が定着しました。

あなたを大切にします

水辺に静かに咲く姿には、派手さはなくとも、静かな強さや誠実さが感じられます。その佇まいから、「あなたを大切に想っています」という慎ましやかな愛情表現として、この花言葉がつけられました。

文化と文学におけるかきつばた

かきつばたは、ただの観賞植物ではなく、日本文化の中で重要な意味を持つ花です。

特に有名なのが、『伊勢物語』の第九段に登場するかきつばたの歌です。

「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思ふ」

これは、かきつばたの五文字を頭に置いた「折句」として詠まれており、遠く離れた恋人を想う心情が美しく表現されています。この歌が広く知られたことで、かきつばた=「恋心」や「思慕」の象徴として、日本人の感性に深く根付いてきました。

また、江戸時代には尾形光琳の『燕子花図(かきつばたず)屏風』が描かれ、かきつばたの静謐な美しさが芸術としても高く評価されるようになりました。

かきつばたを贈るシーンとメッセージ

かきつばたは、控えめでありながらも奥ゆかしく、心の深いところに訴えかけるような花です。そのため、以下のようなシーンで贈ると効果的です。

  • 遠距離の恋人へ:「思慕」「あなたを大切にします」という言葉を込めて
  • 人生の節目を迎えた人へ:「幸せは必ず来る」という希望を伝えるために
  • お世話になった年配の方へ:その「高貴」な印象で敬意を込めて
  • 喪失感を抱えている人へ:そっと寄り添う「優しさ」の象徴として

かきつばたは切り花としてはあまり流通していませんが、写真や絵、カード、和の装飾として贈ることで、花言葉の意味を伝えることができます。

かきつばた(杜若)の花言葉のまとめ

かきつばた(杜若)は、古来より日本人の心に寄り添い、文学や芸術に登場してきた気品ある花です。花言葉には「幸せは必ず来る」「優しさ」「高貴」「思慕」「あなたを大切にします」など、静かながら深い感情を表す意味が込められています。

派手さはないものの、その佇まいには強さと品格があり、贈る相手の心にそっと寄り添う力を持っています。恋人への想い、尊敬する人への感謝、自分自身へのエールなど、さまざまな場面でその花言葉は心を癒し、励ましてくれるでしょう。

かきつばたは、見つめるほどに美しく、知るほどに深い花。日常の中でふと目にした時、その花言葉を思い出して、心にそっと余韻を残してみてはいかがでしょうか。

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