「すれ違い」という言葉には、心が通じなかったり、想いが交差しなかったりする切なさや寂しさが込められています。恋愛、友情、家族、仕事など、人間関係の中で誰もが経験する可能性のある感情であり、その繊細な気持ちは、花言葉にも表現されています。
この記事では、「すれ違い」を象徴する花言葉を持つ花々や、その背景にある意味、そしてどのような場面でその想いを花に託すことができるのかについて詳しくご紹介します。
「すれ違い」を象徴する花と言葉
リコリス（彼岸花）
リコリス、特に赤い彼岸花の花言葉には「悲しき思い出」「再会を願う」「あきらめ」といった意味が込められています。これらの花言葉は、かつては近くにいたのに今はもう遠く離れてしまった人への想い、そして心がすれ違ったまま時間が流れてしまった過去への切なさを象徴しています。
彼岸花の咲く場所が墓地や道の境界であることから、「一緒にいたいのに叶わない」「すれ違いのまま終わってしまった」という悲しみを表すのに適した花です。
青いバラ（ブルーローズ）
青いバラの花言葉はかつて「不可能」「叶わぬ願い」とされていました。現在では品種改良により実現可能になったことから「奇跡」「夢叶う」とも言われるようになりましたが、本質的には「手の届かないものへの想い」や「心が届かないもどかしさ」を表現する花でもあります。
「どうしても通じ合えなかった気持ち」や「すれ違ってしまった恋心」を象徴するにはとてもふさわしい花です。
クロユリ（黒百合）
クロユリの花言葉には「恋」「呪い」「偽りの愛」など強い感情が込められています。「すれ違い」が誤解や裏切り、思い込みによって起きた場合、クロユリはその複雑な感情を代弁してくれます。
恋愛において心が通じ合わない、信じた相手に裏切られた、そんな「すれ違いからくる深い傷」を静かに表す花です。
キンギョソウ（金魚草）
金魚草の花言葉には「仮面」「でしゃばり」「おしゃべり」などがありますが、「仮面」は「本当の気持ちを隠している」という意味でもあり、「相手に自分の本心が伝わらない」「思っていたのと違った」など、心のすれ違いを象徴する花とされています。
見た目の可愛らしさとは裏腹に、人の本音と建前を浮き彫りにするような、複雑な感情を映す花です。
アザミ
アザミの花言葉は「触れないで」「独立」「厳しさ」。棘を持つこの花は、「近づこうとしても傷つけてしまう」「心を通わせたいのに素直になれない」といった、気持ちのすれ違いからくる距離感を象徴します。
互いに悪気がないのに、理解し合えず離れてしまう…そんな状況にぴったりの花言葉です。
花言葉に込められた「すれ違い」の意味と背景
花言葉の歴史は、ヨーロッパの社交文化や日本の和歌などの影響を受け、言葉にできない想いを「花」に託して表現するという目的から始まりました。なかでも「すれ違い」や「通じない想い」を表す花は、恋愛や死別など、人生の繊細な場面で多く用いられてきました。
たとえば、彼岸花は「死者とのすれ違い」、青いバラは「理想とのすれ違い」、金魚草は「表情と本心のすれ違い」を表す花です。それぞれが異なる側面から、「想いが交わらない」状態を象徴しているのです。
また、「すれ違い」という感情自体が、強く記憶に残りやすく、詩や物語のモチーフとして使われやすいため、こうした花言葉は文学的・芸術的な意味でも重用されてきました。
「すれ違い」の花を贈るときの注意点
「すれ違い」を象徴する花は、基本的にポジティブな意味ではないため、贈り物として渡す際には注意が必要です。相手との関係性や、伝えたい本当の気持ちをよく考えたうえで選びましょう。
たとえば、恋人とのすれ違いを詫びるときや、過去の別れを思い出すようなシーンでは、青いバラや彼岸花の意味をカードに添えて渡すことで、誤解を避けつつ自分の想いを伝えることができます。
また、直接渡すのが難しい場合には、手紙や短い詩に花言葉の意味を込めて届けるという方法もあります。
自分の中の「すれ違い」を癒すために花を飾る
人との関係で傷ついたり、自分自身の気持ちに戸惑ったりすることは誰にでもあります。そんなとき、「すれ違い」を象徴する花をそっと飾ることで、感情に区切りをつけたり、内面と向き合う時間をつくることができます。
例えば、リコリスを一輪飾って、「あの人とはすれ違ってしまったけれど、ありがとう」と心でつぶやく。アザミのドライフラワーを手元に置いて、「近づけなかったけど、傷つけたくなかった」と過去を受け入れる。
こうして花を通じて自分の気持ちを見つめ直すことで、少しずつ心が整理されていくものです。
すれ違いの花言葉のまとめ
「すれ違い」の感情を表現する花言葉には、リコリス（彼岸花）の「悲しき思い出」「再会の願い」、青いバラの「叶わぬ願い」、クロユリの「偽りの愛」、金魚草の「仮面」、アザミの「触れないで」などがあります。
これらの花は、心が届かなかったときの切なさや、通じ合えなかった想いを静かに映し出してくれる存在です。贈るときには細心の配慮が必要ですが、自分自身の心を見つめるための手段としては、とても力強く、美しい役割を果たしてくれます。
人の気持ちはすれ違うことがあるからこそ、その反対にある「通じ合う喜び」の価値がわかります。すれ違いの花言葉を通して、失ったものだけでなく、学んだことや感じたことをそっと抱きしめる時間を作ってみてください。それは、心の成長への小さな一歩になるはずです。